ウールはさまざまな理由から、環境と社会に対して責任を果たす繊維であると考えられています。100%天然のオーガニック素材であり、再生可能で、生分解されて自然に還ります。サステナブルで再生力のある方法で牧羊を行うことにより、今の世代、さらには将来の世代のために、生物多様性を高め、土壌を健康にし、炭素隔離を増やすことができます。
羊たちは毎年新しく毛を生やすことから、ウールは再生可能な繊維であると言えます。また、ウールはオーガニックな繊維であり、天然で生分解可能な素材でもあります。
オーストラリアにおける牧羊手法
オーストラリアの牧羊場は、代々続く牧羊業者が家族で経営している場合が多く、単なる仕事ではなく天職たる職業となっています。オーストラリアの牧羊業者たちは、健やかな環境とウールの品質の関係を理解しています。上質なウールは、健康な羊たちが健やかな牧草地や土地で草を食んでこそ育まれます。環境と羊たちを守るためにたゆまぬ努力を続けているオーストラリアの牧羊業者たちは、今の世代だけでなく、将来の世代のニーズも満たすべく、土地の管理をしています。
オーストラリアの牧羊業者たちは、サステナブルな牧羊のベストプラクティスを実践することで、土地を守り再生し、羊たちの健康と幸福に気を配りながら、家族経営のビジネスとして成功することができています。
ウール生産がどのように環境の再生に役立つか
オーストラリアの牧羊業者の多くは再生農法を採用しています。牧羊場環境の生物多様性を高め、肥沃さや健康を促進し、炭素隔離を増やすものです。
次のような数多くのサステナブルな再生農法を用い、オーストラリアの牧羊業者たちは牧羊場の環境と循環システムを支えています。
- シェルターや野生動物の「緑の回廊」のための植林
- 牧草地の再生と土壌の健康を支える管理放牧
- 炭素隔離につながる乾燥堆肥の利用
- 植物相の多様性と土壌の生物相を育む牧草の作付け
- 保水力と水質の改善に向けた浸食対策
- 土壌の栄養不足への対応
- 葉面散布による土壌微生物の健全性の向上
- 河川の植生回復により水質汚染物質を除去し生物多様性を促進
ハリー・ワトソン
Millpost Merino
ハリー・ワトソン
Millpost Merino
「私たちはパーマカルチャーを放牧場の土地に適用し、アラン・サヴォリー氏のホリスティック・マネジメントである経営手法のツールや経営意思決定テクニックを放牧管理に生かしています。」
ナン・ブレイ
White Gum Wool
チャールズ・ダウニー
Glenelg Estate
チャールズ・ダウニー
Glenelg Estate
「私たちの焦点は、長期にわたって土地への影響を最小限に抑えることであり、そうすることで私たちの後に "Glenelg (グレネルグ) "を管理する者が誰であろうと、その土地が安全であるようにすることである。」
再生農法がどのように土壌の健康を支えるか
環境の自然な機能を支える再生農法は、牧羊場全体の生態系の基礎である土壌の生態と肥沃さの改善に着目した、総合的な農法です。
再生農法の取り組み:
土壌システムを支える
生物多様性の向上
水循環の改善
生物学的炭素隔離を支援
気候変動へのレジリエンス強化
土壌の健康と活力の強化
羊たちがどのように環境の再生に寄与するか
毛用種の羊は、オーストラリアの生産者たちが生計を立てるための土地をサステナブルに管理する上で、不可欠な役割を果たしています。適切に管理すれば、羊たちは次のように、放牧された土地の再生に寄与します。
- 牧草地の再生を始動
- 雑草による影響を制御、管理
- 自然に発生する堆肥が土壌に堆積
- 土壌の生物相の多様性と健康の向上を促進
- ウールが収入を生み、生産者がサステナブルな牧羊場経営にも投資できる。
牧羊業者の羊たちへの配慮
オーストラリアの牧羊業者たちは、羊たちが動物福祉の「5つの領域」に沿って飼育されるよう、配慮しています。つまり、羊たちが動物福祉の「5つの領域」ごとにプラスの経験をできるようにするだけでなく、それを積極的に促すような環境を提供しようと取り組んでいるのです。
動物福祉の「5つの領域」とは:
- 栄養
- 環境
- 身体の健康
- 行動
- 精神状態
オーストラリアの牧羊業者は、自分たちが飼育する動物が健康で幸せであるように、常に技術革新に取り組んでいます。
牧羊業者が行っている将来の世代のための土地管理
オーストラリアでは何万もの牧羊業者が、羊たちと牧羊地の世話をし、家族経営のビジネスを繁栄させられるよう、そして将来の世代が家族経営の牧羊場で生活を支え続けられるように、たゆまぬ努力を続けています。
ザ・ウールマーク・カンパニーは、オーストラリアで育まれたウールが農場を出て生地になるまでを正確に説明できる、透明性があり追跡可能なサプライチェーンを構築・伝達するために、生産者やブランドと協力して取り組んでいます。
研究開発によってイノベーションを起こし、ウールに適正な市場価格をつけることにより、牧羊業者たちは彼らが管理する土地と羊たちを守り、世話をし続けることができるのです。